歯並びDENTISTRY 2022年8月9日
歯列矯正治療の最終目標は、しっかり噛める永久歯列を作ることです。それなら、子供の時に歯並びが悪くても、大人になってから治せばいいじゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか?
しかし、実際には、子供の時期にしかできない治療、この時期を逃すとその後の治療がとても困難になる場合が多々あります。今回は、子供の時期にぜひ治しておきたい歯並びの治療についてお話します。
不良習癖の改善
例えば、指吸いや舌の突出癖があると、写真のように上下の前歯が噛み合わなくなります(開咬)。どうしてもこれらの不良習癖が治らないときは、防止装置を口腔内に入れることによって、習癖は無くなり、歯並びがきれいになります。子供であれは3~6ヶ月で治りますが、成人ではなかなか治りません。
- 治療前
- 防止装置
- 治療後
交叉咬合の改善
右側あるいは左側のいずれかに下顎が偏位することによって起こる不正咬合です。子供では、歯列拡大などによって比較的容易に治ります。放置すると骨格性の下顎偏位に移行しやすいので、早期に治すほうが良いです。
- 治療前
- 治療装置
- 治療後
歯牙の位置異常の改善
1つ目は、7歳の男の子の症例です。上の前歯がねじれて生えてます。専門用語では、翼状捻転歯(翼のようにねじれている歯)といいます。この時期であれば3ヶ月ほどで簡単に治りますが、大人になってからでは、なかなか治療が困難です。1年以上かけてワイヤーで前歯を動かすか、前歯を削ってかぶせにします。
- 治療前
- 治療中
- 治療後
2つ目は、11歳の女の子の症例です。上の犬歯が上の方に生えています。専門用語で転移歯といいます。この時期であれば6ヶ月で治りますが、大人になってからでは、約2年かけて治します。場合によっては、抜歯して治します。
- 治療前
- 治療中
- 終了直前
この他に6才臼歯の咬合関係の改善も、子供の時期だからこそ簡単な治療で治る症例だといえます。
受け口(反対咬合)の改善
子供の受け口 (反対咬合)について気になってはいるけど、歯科検診のときに永久歯が萌えるまで様子みましょうと言われたので、そのままにしている方が多いように思います。 しかし、最近の報告では子供の反対咬合の自然治癒率は、6.4%と報告されています。そのため、子供の 受け口(反対咬合)は、なるべく低年齢時期に出来るだけ負担の少ない方法で関わりを持つことが必要だと考えるようになってきました。
- 治療前
- 治療後
以上が子供の時期に治しておきたい歯並びの代表的な症例です。
歯並びのことで相談したいことがある方は、気軽に声をかけてください。