禁煙外来NO SMOKING
はじめに
禁煙外来を受診する多くの患者さんが、禁煙の成功に必要なものは“意志の強さである”と考えていますが、実はタバコがやめられないのは、薬物中毒の一つである“ニコチン依存症”という病気が原因で、専門家による治療を受けることで禁煙の成功率は高くなります。
当院では、禁煙補助剤とカウンセリング、また患者さんからご希望がある場合には、適応に応じて漢方薬を併用した禁煙治療を実施しております。禁煙を考え始めた方は、一度 禁煙外来を受診してみませんか。
一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム 禁煙資料館の資材より
http://square.umin.ac.jp/nosmoke/shiryo.html
世界と日本におけるタバコの取り扱い
タバコが死亡や病気、障害を起こすことは、科学的に証明されています。
2003年には「タバコ規制枠組み条約」が採択され、世界中の多くの国々は協力してタバコの害を減らそうとしています。
一方日本では、「たばこ事業法(1894)」により、タバコ産業は国の保護下にあります。
「日本たばこ産業株式会社(JT)」は、株式の33.35%を政府が保有する、実質“政府の会社”で、JT株の配当金のうち、毎年1000億円余りが政府の予算に組み込まれ、国、地方を併せたタバコ税収は年間2兆円にのぼっています。
各国のタバコ規制対策の違いを、タバコパッケージの警告表示で見てみましょう。
画像は海外のタバコパッケージの警告表示です。
※掲載する画像は、比較的衝撃の少ないものを選択しましたが、一部に刺激的なものも含まれます。
個人により感じ方が違うため、閲覧にはご注意ください。
「タバコは美容の大敵!」https://www.tobacco-biyou.jpより抜粋
あなたの体は守るのは、あなた本人です
禁煙を勧めると、「タバコ代が2000円になったら禁煙するよ」とか、「国がタバコを売らなきゃ禁煙できる」、更には、「たばこが麻薬みたいに法規制になったら止めるよ」とおっしゃる方がいます。タバコ産業から大きな財源を得ている日本の政府が、積極的にタバコ規制に乗り出すでしょうか???
残念ながら、その答えは「NO!」だと思います。あなたの体を守ることができるのはあなた本人です。
元凶はニコチン依存症
喫煙者のみなさんの多くは、知らない間に「ニコチン依存症」という病気になっています。
ニコチンは、麻薬にも劣らない強い依存性のある有毒物質で、常習喫煙者では、肉体的、精神的、さらには行動習慣からもニコチンに対する高度な依存が形成されていきます。
禁煙に成功するためには、専門家による治療を受けることが有効です。
健康保険で禁煙外来を受診する為には・・
禁煙治療の保険診療には基準が設けられており、以下を満たした方のみがその対象となります。
- ニコチン依存症を診断するテスト「TDS」が5点以上
- 1日の平均喫煙本数×喫煙年数が200以上(35歳以上の方のみ。34歳以下の方はこの項目は不要です)
- すぐに禁煙する意志があり、禁煙治療を受けることを文書で同意している
- 初めて禁煙治療を受ける、もしくは前回の禁煙外来(保険診療による)初回日より1年以上経過している
注※当院では、禁煙成功率の向上と継続期間延長のため、上記の基準と併せ、3ヶ月に5回の診療プログラムを必ず受診できる方を対象とさせていただきます。
禁煙外来スケジュールについて
当院では、導入診察を含めて6回の診察を行います。
導入診察では、喫煙経過の把握や、お身体の状態確認、禁煙補助剤の安全使用を目的として、胸部画像検査や呼吸機能検査、心電図、血液検査などを受けていただきます。
初回診療では患者さんと話し合って禁煙開始日を決定し、薬を処方します。初回診療から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後に禁煙の実行、継続のための診療を行います。
毎回の診察では、禁煙補助薬の処方のほか、息に含まれる一酸化炭素(タバコに含まれる有害物質)濃度を測定し、タバコに関する様々な情報について学んでいただき、禁煙状況に応じたアドバイスをいたします。
禁煙外来実施日
毎週水曜日の14:00〜17:00に実施しています。完全予約制となります。
基礎疾患により、使用できる禁煙補助薬に制限がある場合があります。また、禁煙治療開始後に基礎疾患が悪化する場合があるため、他院に通院中の方は、必ず主治医に当院の禁煙外来を受診する旨をお伝えいただき、了承を得た上で、主治医からの診療情報提供書をお持ち下さい。
病状によっては、治療をお受けできない場合もございますが、ご理解、ご協力をお願いいたします。
術前禁煙治療
当院では、術前患者さんへの禁煙治療を実施しています。
タバコを吸っている方は、手術を受けるにあたり呼吸器系や循環器系の合併症や手術創の感染など様々な不利益を受けやすくなります。手術前に禁煙することで、術後の合併症を少なくすることが可能になります。
術前禁煙治療を希望される方は、松本協立病院 予約センター(TEL 0263-35-5288)までご連絡ください。
禁煙の薬について
当院での禁煙治療は、以下の2種類の禁煙治療薬を選択して行います。
注※2021年6月よりチャンピックス(ファイザー社)は、出荷保留となっております。出荷の再開につきましては2022年後半以降と想定されていますが、出荷再開後も安定的な供給に至るまでに時間を要するものとみられます。チャンピックスが入手可能となるまでは、ニコチネルTTSにて禁煙治療を実施いたします。
ニコチネルTTS(外用薬)
- ニコチンが皮膚から吸収されます
- 毎日1枚ずつ皮膚に貼り、一定期間を置きながら、サイズの大きいものから小さいものに切り替えていきます
チャンピックス(内服薬)
- 1回0.5mgを第1~3日目は1日1回、第4~7日目は1日2回服用します
- 1回1gを第8日目以降1日2回服用し、投与期間は合計で12週間となります
費用について
貼付薬を使用する場合 | 内服薬を使用する場合 | |
---|---|---|
禁煙補助薬 | ニコチンパッチ (商品名:二コチネルTTS) |
バレニクリン (商品名:チャンピックス) |
費用の目安 | 約13,000円前後 (保険適用 3割負担の場合) |
約20,000円前後 (保険適用 3割負担の場合) |
注※保険適用とならず、自由診療の場合は、全額自己負担となるため、およそ4万円から6万円程度の費用がかかることになります。
上記は、目安の金額です。検査や画像撮影、上記以外の薬剤を追加する場合は、別途料金が発生します。
お問合い合わせ
禁煙外来についてのお問い合わせおよび、受診をご希望される方は
松本協立病院 予約センター 0263-35-5288までご連絡ください。
スタッフ一同、皆さんからのご連絡をお待ちしています。
松本協立病院 禁煙外来担当
内科呼吸器科 折井(日本禁煙学会 認定指導医)
禁煙外来専任看護師 粟津原、石井、鎌田、田中
医師紹介
折井 恭子 (おりい きょうこ)
所属学会・専門医資格
・日本内科学会(総合内科専門医)
・日本呼吸器学会(専門医)
・日本禁煙学会(認定指導医)
・日本禁煙科学会(上級禁煙支援士)
・肺がんCT検診認定機構 肺癌CT検診認定医
・日本東洋医学会
・日本職業災害医学会(労災補償指導医)
・日本医師会(認定産業医)
・臨床研修指導医