心臓血管外科CARDIOVASCULAR
概要
心臓血管外科全般の知識、技術はもちろんのこと、早い段階で独り立ちできるような外科医を育てることを目標としています。 週3~4件の心臓血管手術(血管内治療含む)に術者、第一第二助手として参加することができ、主治医として術前から術後までの入院管理を学べます。 また、外科専門医取得のために心臓血管外科領域の症例経験を必要とする外科系研修医の方に半年~1年の期間で研修していただくことも可能です。 臨床の現場で活躍する外科医として大切なことは、技術?、知識?、経験? どれも大切なことですが、もっとも必要な事は手術をマネージメントする能力です。
- 技術は頭の中で正しいイメージトレーニングができてさえいれば、後は繰り返し行っていけば誰でも身につきます。良いやり方を教えてもらえるかどうかです。
- 知識はテキストと文献から文字さえ読めれば誰でも得ることができます。
- 経験はより多くの患者さんを受け持って、手術に参加すること・多くの経験をすることで、ある程度の予測が付けられるようになります。 そして、逆に、教科書通りにいかないような予測のつかない症例もたくさん経験することが望ましいです。
手術の腕を磨くこと、そして専門医を取得することは必須ですが、手術だけいくら上手でも、資格があっても外科医は生き残っていけません。 そのマネージメントとして術前の検査から入院、患者さんに対する説明、手術プラン(もっとも大切)、術後管理、退院後のフォロー、そして紹介してくれる先生方とのかかわり、病院のスタッフとのかかわり、そうした実践的なことを同時に身につけてもらいたいと思います。
特徴
手術実績
2013-2020年までの直近8年間の手術件数は1260件(虚血102、弁膜症257、胸部大動脈117、腹部大動脈177、末梢血管556、その他51)
2020年度163件(虚血14、弁膜症24、胸部大動脈22、腹部大動脈36、末梢血管48、その他19)で年々増加しています。
心臓手術
心臓手術は2012年より内視鏡を用いた4~6cm程度の小切開を導入しています。大血管手術は局所麻酔+穿刺もしくは2cm程度の小さな切開によるステントグラフト(胸部、腹部)を中心に、侵襲の少ない治療を目指しています。
麻酔研修
当科における手術の麻酔導入を麻酔科専門医のもとで行い、気管内挿管(片肺分離換気含む)、中心静脈ライン、スワンガンツ挿入、動脈圧ライン、経食道エコーなどの手技を習得してもらいます。
施設認定
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 三学会構成心臓血管外科専門医基幹施設
- 日本成人心臓血管外科手術データベース認定施設
- 胸部・腹部ステントグラフト実施施設
- 下肢静脈瘤 血管内焼灼術実地施設
診療体制
循環器内科の先生方と連携をとり、術前術後の管理を協力して行っていますので、休日は基本的に回診、処置のみで当番制で行っています。不必要な残業や、術後患者さんに張り付いているような必要がない、QOLの高い働き方を目指しています。
医師の仕事軽減として
当院では医師の仕事量を減らすことを目的として医療秘書部門があります。基本的な書類関係から診療情報書などの代行をしていただけます。 また、心臓血管外科には専属の事務がいますので、外来・病棟・手術など含めルーチンの指示やデータベースを含めた事務作業は事務が代行しています。 それにより、本来、医師がやるべき仕事に専念でき、患者さんと向き合い診察する時間も十分にとることができます。
関連のある施設
- さいたま赤十字病院
- 松波総合病院
- 豊橋ハートセンターグループ(豊橋、名古屋、岐阜)
- 三重ハートセンター
- 飯田病院
- 昭和伊南総合病院
国内外の留学経験
心臓外血管外科はハイボリュームセンターで集中的に経験を積むことも大切です。国内外を問わず希望があれば留学して経験を積んでもらいます。
研修計画
後期研修1年目の目標
- 心臓外科全身麻酔の導入(挿管、動脈圧確保、CV確保、スワンガンツ挿入など)が30分以内にできる
- 血管の露出・縫合、静脈グラフトの採取、開胸・閉胸、人工心肺のカニュレーションといった心臓血管外科の基本的手技の習得
- 基本的に手術の第一もしくは第二助手を務めて手術の流れを習得
- 血管内治療の基本手技 カテーテル操作、コイリングやバルーニングなどの血管内治療
- 末梢血管手術を基本とした難易度Aの術者
- 術後管理
- 地方会での発表
後期研修2年目の目標
- 静脈グラフトの30分以内の採取、人工心肺の30分以内のカニュレーション、動脈グラフトの採取
- 簡単な開心術
- 腹部ステントグラフト実施医の取得
- 手術のプランニングができる/li>
- 総会での発表、論文の執筆
後期研修3-4年目の目標
- 30分以内に内胸動脈を採取できる
- 弁置換術を基本とした難易度Bの術者
- 末梢血管手術や静脈グラフト採取、開胸閉胸などの基本手技について、後輩研修医に指導できる
- 腹部ステントグラフト治療の術者/li>
- 外科専門医の取得
後期研修5年目以降
- 冠動脈バイパス術など難易度Cの術者
- 心臓血管外科専門医の取得
研修計画
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
朝 | 朝回診 | 朝回診 | 朝回診 | 朝回診 | 朝回診 | 回診 | 回診 |
午前 | 手術 | 外来 | 外来 | 手術 | 手術 | ||
午後 | 手術 | 手術 | 病棟カンファレンス 手術カンファレンス |
手術 | 手術 | ||
夕方 | 夕回診 | 夕回診 | 夕回診 | 夕回診 | 夕回診 |
指導医からのメッセージ
当院では他科の医師はもちろんのこと、コメディカル、事務方含め病院のスタッフが協力的で医師の仕事に専念させてくれ、大変働きやすい病院です。 ハイボリュームセンターではありませんが、一例一例の症例に向き合って、じっくりと学んでいくことが可能です。 また、少人数で行っており症例数は年々増加していますので、経験を積みたい方にお勧めです。手術の内容も早くから内視鏡を含め先進的な技術を取り入れて、地方ではありますが、標準レベル以上の医療を提供していると自負しております。 また30代で独り立ちした自らの経験から、いつか独り立ちしたい方、また私の後継者として、この病院の心臓血管外科を引き継いでくれるような野心を持った方、大歓迎です。